2013年12月30日月曜日

すみれ色の空

「いい景色見られてよかった」と頭の上の方で人が言った。私はそのときぼうっと夕焼けを見ていて「え、何?『いつ死ぬか分からない』?」と聞き返したら、その人は私の聞き違いにあきれ、そのような耳になった私の人生を憐れんだ。空は群青とすみれ色と薄桃のうつくしい三層で、日が沈みきらずとも、今夜は星がきれいだというのがわかった。

麻辣羊鍋、というものを食べた。今年の悪い汗がながれた、と思ったが、これくらいでながせるほどの量ではないな、と思い直して、ハンカチで額を押さえた。紹興酒と一緒に供された干し梅が、今までたべたどの干し梅よりおいしく思われて感動した。途中、自分でもよくわからないスイッチが入って、隣の人が「僕にも聞こえるようにしゃべって」と言うのを無視しながら、目の前の人に向かって一生懸命、来年の抱負を語ってしまった。まあでも、語っていたのは来年の抱負だけではないのだ。

同級生と話していて、私が昔のことをよく覚えているので驚嘆していた。私はおしゃべりしあう友達が少ないかわり、みんなのことをよく見ているので、それで記憶が強く組まれる。好きな男と好きでない女にまつわることは、忘れない。

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