2016年3月18日金曜日

若い生きもの

なんとか着替えまですませてファンデーションを塗っても、そこから家を出られない。せっかく着た服を脱ぎ、立ちすくんでしまう。すべきこと、行くべき場所はあるのに、そうしたくない。もう昼も近いから、差し込む光が強くて白々しい。よく見ると脚があざだらけで、眠っているあいだに打ち付けたのか、それとも誰かと何かしたのだっけ、と思う。
子犬は、私が小型犬に触ろうとしただけで走ってきて、指をかむ。テレビの裏に本物の犬がいると思って吠える。この世に生まれて日が浅く、大気の摩耗を受けていない生きものは、人の人生を明るくする。

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