2016年6月16日木曜日

歌う旅人

眠りに落ちてからは一応朝まで眠っているはずなのだが、英語の歌を歌っていたらしかった。どんな歌だったのか聞くと、知らないという。聖歌っぽかったよ、キリスト教の、と言うが、聖歌がどんな感じのものか彼は果たしてどれくらい知っているのだろう。それで歌い終わってなんかどこか知らない国の言葉を喋ってたよ、アジアみたいなの、英語じゃない言葉だったよ。みたいなのって、それどこの言葉なの。なんで私がそんな外国語を喋るのよ。私の伯母が昔、フランス人の幽霊が頭の中に入ってきてフランス語でうるさくわめいて眠れなかったって言ってたけど、まさかそういうやつ? あ、そういえば幽霊の出る教会に行ってしまったんだった。えっ、かわいそうに、こんな遠い国まで連れてきたってこと?

それで朝6時に風呂に湯をはり、多めの粗塩とラベンダーオイルを入れた。体を流し、しばらく朝の光を見ながら湯につかった。姿の見えぬ旅人の、帰国の道ゆきを頭の中でちょっとイメージしてから、風呂の湯を抜いて一日を始めた。

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