2013年7月25日木曜日
暗い廊下
2013年7月24日水曜日
真夏の呼吸
階段から落ちた傷がまだ治っていないので、こんな真夏に黒いストッキングで出勤している。そうなると、スカートも靴も黒くなるので、暑くるしいことこの上ない。せめてシャツは涼しげでいたいと思うけれど、冷房のもとでカーディガンを羽織るなら別に何を着ても同じだ。
今日のランチは一人だったので、Perfumeを聞きながら駅前までサンドイッチを買いに行って、隅田川沿いの公園まで戻ってそれを食べた。日傘はさしていたけれどもちろん日差しは強く、じっとり汗ばんだ。でも、夏に外を歩くのなら絶対に七月がいい。八月は、あれは残暑というのであって、夏ではないと私は思う。太陽の意志が前だけ向いているのも、夏の花が上へ上へと伸びるのも七月までなのだ。 それを過ぎたらあとは秋めいた衰えの影が透けるようになる。どんなに暑くても、それは七月の余熱。
会社で、申告シートを提出させられた。部長や、人事部に見せるためのシートである。現在の部署で何をしているかとか、何か相談したいことはあるかとか、今期の目標は何か、とかいうのを書く。どうも春に異動して以来、以前、どうしてあんなにしぬほど働いていたのかよく分からなくなってしまった。それはいいことのはずなのだが、たとえば転校生が前の学校とキャラが変わってしまって、勉強も好きだったはずなのに新しい学校では勝手が違ってやる気が全然出なくなる、みたいな感じだろうか。ともかく勇気を出して、 申告シートに「上司面談希望」というチェックをつけた。話した結果や、今期の仕事ぶりの結果でこれまでの私の評定は下げられることになるかもしれない。でも、残業も減ってるし、会社への貢献度は下がってるから仕方ない。もともと私は、学校や職場など、ある集団においてはたいてい、高評価をもらうことに慣れている。(これは、自慢でも何でもなくて、20年来の被評価経験をもとに言っているだけ。キャラクタとか実績とかをもとに、先生や上司が私を評価するのである)慣れているから特にうれしくもないし、他の人に認めてほしいことをがんばりたいと思うので、評定が下げられたところであまり何とも思わないかなあ、というのが今の率直な気持ち。10月のシステムアーキテクト試験、どうしようかな。忙しいだろうし、でも年一回の試験だから申し込みだけはしようかと思う。
2013年7月23日火曜日
七つの森
うれしいとか楽しかったとか、そういう気持ちが長続きしなくて参る。携帯電話の電池は買って二年くらいすると全然もたなくなるけど、そういう感じ。気がつくといつものあれが広がって、台無しになっている。
18歳の友達に、劇場で久しぶりに会った。彼女に「去年初めて会ったときから今までどんどん綺麗になってると思います」と不意に言われて、それがお化粧のせいとかではなく本当だとすると、理由には心当たりがあったので恐縮してお礼を言った。彼女は、新高円寺の珈琲屋さんで私の写真を撮りたいと言ってくれた。それが今日一番うれしかったことなので、たとえ(私の欠陥により)気持ちが長続きしなかったとしても、また思い出せるように日記に書いておく。
2013年7月22日月曜日
応用読み問題
1.
憚る必要もないから言うけど、この街一番の美丈夫と昵懇な間柄なの。驕っているわけでもないわよ。閨で彼を待っていると、彼は蔀をそっと開けて旋風のように舞い込んでくる。因襲の桎梏からは逃れられないものね。彼の榛色の瞳はとても綺麗だから躊躇なんて無いし、後朝の別れが来るまで、縞模様の羽織に抱かれていたいっていつも思うわ。
2.
猪口は二つでいいかな、まあ聞いてくれ。石花石膏の肌理をした女に誑かされたんだ。ふたり気配を消して躙り寄って、手を取った。襦袢を透けて光が滲む姿はまるで衣通姫の末裔で、たとえ草の褥の上でだってその残滓を啜らずにはいられない。ただ、こんなこと言うのは烏滸がましいけど、そういう時は悉く裏目に出るものだね。そのとき襖を開けて現れたのが我が莫逆の友、勅使河原君というわけだよ。
3.
初な娘を拐かして落花狼藉を働いたなんてひどい言い草だな、四方山話をしていただけだ。思うが儘に花弁を散らして蹂躙はしたけど、そのあと壁一面に髑髏の絵を一緒に描いた。だって可愛いんだよ。家鴨みたいな唇でさ。僕は、いつでも立場を弁えて約やかに話す女が好きだからね。
4.
燐寸なんか要らないわ。郭の傾城じゃあるまいし煙管なんて吸わないもの。私に瑕疵は無いんだから庇って。いっそ攫って。等閑にしないで。爪に鑢を掛け終わるまでは待って。
5.
あら、梢に鶸色の鸚鵡が来てる。こんな時分に珍しいこと。この森には樫や楢の大きな木があって、秋には団栗が拾えるのよ。春には蕗の薹も生えるし、薇だって取れるみたい。奇妙な話だけど、仙人掌も植わっているの。本当だってば。私は躑躅が一番好きかな。紫陽花にはまだ早いけれど。一度にたくさん花をつける樹が好きなのよね。
6.
本当はとても億劫でしたのに、嫂が無理矢理にね。余りにお育ちに矜恃をお持ちの方だから生来曖昧で茫漠とした私にはお相手が務まりませんでした。此処だけの話だけど、あの方、三和土で鶉を飼っていらっしゃるんですって。わたし鶉はちょっと。軍鶏も怖くて。だから屏風の前で華燭の典というわけには参りませんでしたの。欠伸ばかりしてしまって退屈だったんじゃないかしら。うまくお話ができなくて、全く忸怩たる思いですわ。
7.
駱駝に乗せる鞍よりも、翡翠か瑠璃か玻璃の玉を私に贈って。無ければ石鹸でも良いし蝋燭だって良いけど、もし私が天鵞絨を欲しがっているように見えたのなら、それは誤謬。
8.
まったくその窶ればんだ様子ときたら、ひどい為体だな。蝙蝠か蜥蜴に逃げられただけだと思えよ。強請に遭ったわけでもあるまいし、いつかまた東雲の日も昇るさ。狼煙を上げて、ほら、骰子を振れ。
9.
十露盤を振って音を出しているだけでも良ければ、側にいるわ。こんなことで靡くような人じゃないのは分かっているから、せめて餞の菫だけでも受け取ってね。
2013年7月21日日曜日
ジュスティーヌ
どれだけ強く抱きしめたら言葉を使わなくても伝わるのか、やってみたところできっとよくわからない。 私の愛は、甘く見合うことと許し合うこと。その相互的なバランスなしにはあり得ない。私が甘く見る余地を持たせてくれない人、私を許してくれない人とはやはりだめだと思う。ひとりで出来る愛と言えば、あなたに長生きしてほしいと願うことくらいである。
2013年7月20日土曜日
マドモアゼル・ブランシュ
2013年7月17日水曜日
東京と私
クレマチスは青
というようなことばかり書いていてもしょうがないので、きっぱりあきらめる、ことが出来ればいいのだけど、それが出来ないということを思い知っている程度には、自分のことがわかっているのだ。 本が読みたい。
2013年7月15日月曜日
愛といって差し支えない
2013年7月14日日曜日
忘れがたい夜を
ナオミちゃんと六本木で、シャンパン、マッシュポテト、オリーブで乾杯。10年ぶりに会うS嬢が来るというので、合流を楽しみに待ちながら創作と性愛の話をした。唇は言葉。しゃべるのをやめてすることは、せめて交わす言葉と同じくらい重くあるべき。言葉を使うよりも今はこれでなくてはだめだ、と思って及びたい。交わす言葉に見合わないキスはできない。S嬢は結婚して名前が変わり、S夫人になっていた。
読み返しますよ。大事…というか、まあ、身体からは切り離されるけど、でも、
「じゃあさ、あんたは絶対自分の子どもを大切にするよ」
え。