2016年6月9日木曜日

初夏の宵

夕暮れ時、死体のように床に転がって泣くのがいちばん収まりがいい。声は立てずに涙を流す。母にもらったメロンが、なんだか畑から盗んできたみたいに、まるのままでリュックサックに入っている。これを食べさせてあげたい人が、いたのだった。そう思う気持ちと、背中に当たる床の硬さでいくらでも泣けた。死なずとも、生きているだけで先細りする人間関係などいくらでもあるというのに。

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