2013年8月2日金曜日

夏の名残の薔薇

夏つながりで、若い娘から恋の相談をよく受ける、という話。「一度飛び込めば変われますか」と聞かれたので「一度くらいじゃ何も変わらないわよ」と言った。だから安心なさい、という意味だったのだが娘は茫然としていたので、伝わったかどうかは不明だ。相談はそれですぐ終わってしまったので「いつだって本当に始まるのは唇以外の場所への口づけから」と、山田詠美に教わったことも付け加えた。

「夏の名残の薔薇」というのはスコットランド民謡だそうだ。もう八月になったので、すっかり残暑の気分である。





 
           
The Last Rose of Summer

'Tis the last rose of Summer,               それは夏の名残のバラ
Left blooming alone;                     一輪だけ咲き残る
All her lovely companions        同じ木に咲いた美しき仲間たちはすでに
Are faded and gone;                    色褪せ散っていった
No flower of her kindred,            ともに咲く同じ血筋の花もなく
No rosebud is nigh,                 小さな蕾すらそばにいない
To reflect back her blushes,          仲間がいれば紅の色を映しあったり
Or give sigh for sigh!              嘆きを分かち合うことも叶うのに

I'll not leave thee, thou lone one,        さびしい薔薇よ 私は おまえを
To pine on the stem;            茎の上で嘆き暮らすままにはしない
Since the lovely are sleeping,   愛しい仲間は永久の眠りについているのだから
Go sleep thou with them.                  さあ、共に眠るがいい
Thus kindly I scatter                 こうやっておまえを手折り
Thy leaves o'er the bed            花壇に葉を優しく散らしてあげよう
Where thy mates of the garden               仲間だった花たちが
Lie scentless and dead.             香りもなく散り敷く その上に

So soon may I follow,               まもなく私も後に続くだろう
When friendships decay,                     友情が朽ち去り
And from Love's shining circle          そして愛の輝ける団欒の輪から
The gems drop away!    宝石のような大切な人たちがこぼれ落ちる その時に
When true hearts lie withered,           心を許しあった人が枯れ果て
And fond ones are flown,            愛しき者たちも去ってしまったら
Oh! who world inhabit               ああ、誰が生きて行けようか
This bleak world alone?               この凍える世界に独りきりで

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