夜には悪魔がやってくる。うとうとして、ほんのわずかの合間にも。悪魔は、横断歩道の向こう、立ちすくんで声の出ない私を見捨てる。悪魔は私に隠しごとをして、ほかの女を家に泊める。悪魔は私の顔を見て、肌が黄色いから可愛くないと言う。思わず大きな声を上げて目を覚まし、こんなことがあった、とわあわあ泣くと、男は、それはぼくじゃないよ悪魔だよ、と言いながら私の背中をさすってくれて、そうか、そうか、悪魔なんだ、顔は似ているけれどこの人じゃないんだ、と思って今度こそ安心できたか、に、見えたけれど悪魔はきっとまた現れる。私の押し殺したコンプレックスと、嫉妬、衝動のぜんぶを引きずり出し、私を痛めつけるために。
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