今の自分の暮らしが信じがたくて、ときどき呆然としてしまう。ねむる前、真夜中に目をさまして、明け方にふと気付いて、隣に横たわる人の寝息に耳をすましても、もはや何も感じない。
外食しながら、仕事と病院の話を少しした。話題が尽きたので、このあいだ弟に買ってあげた赤い鞄の写真を見せたりもしたが、他には何もしなかった。紅茶を飲み、パンケーキをたべて、安らかな気持ちにはなった。でも、どうしても遠い、と思う。遠いからこそ好きだとも思う。でもその「好き」は、茫漠としてどこへ続くのかわからない。このまま年金と社会保険料と住民税を払うだけの未来を生きるくらいなら、早く死んでしまいたい。そう言ったら彼は、俺は掛け捨ての医療保険にも入っている、と言った。それを聞いたら何だか私も、医療保険にすぐに入らないといけないような気がしてしまった。
婚姻届を出すためには戸籍謄本が必要で、それは本籍地から取り寄せなければならないから、出会ったばかりの二人がすぐには提出できないことをもう私は知っている。結婚に夢を見るのはばかのすることだ。ウエディングドレスを着るのは本当に素敵な体験だが、多くの花嫁は、楽しかったけどもう二度とはやりたくない、と答えるものである。
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