2016年4月13日水曜日

指のかたち

最近知り合った人の指先を見つめている時に、あの人と手がよく似ていることに気がついた。何となくじんわり思い出した、というのではなく、ぱっと「あの人の手だ」と結びついた時のことはこれからも忘れない。

夢の中で私は、本の続きを書き継いでいて、それは、えっ、これって私が書いたものなんだっけ、と思うくらい狂気に満ち、別人の文体が乗り移ったようだった。文章は短いものが3つくらい続いていた。隣には友だちがいて、彼は落ちつかない様子で何かを待っていた。彼が落ちつかない様子なのはいつものことである。時計は夜中の3時だったけれど、彼は8時には起きなきゃいけないと言って先に寝た。そのあと私が同じベッドで眠ったかは定かでない。ひとりで玄関から外に出て、何者かに追いかけられて怖かったような気もする。目が覚めるとじっとり汗をかいていた。真っ先に、あれと同じものを書きたいと思って思い出そうとしたけれど、同じ文章は当然ながらこの世に存在しないので、そのことにがっかりしたのが浅ましかった。それから3時間くらいかけて、言葉が朝日に霧消していくのを、未練がましく追っていた。

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