2013年6月17日月曜日

王国の鍵

不安が強すぎるんじゃない、と言われて、え、と思ったし実際口にも出したけれど、気づかれていないと思っているのはいつもわたしだけ、という状況にもいい加減慣れているし、わたしごときの考えることは思った以上に相手に透けているのだという前提で行動しなければならない。

わたしの家はオートロックではないので、共用玄関の鍵を手で開ける必要がある。ときどきその鍵が変になる。昨夜は、鍵が鍵穴に入らなくて本気で15分格闘した。0時を過ぎていなかったら、困って大きな声を出していたかもしれない。もうこんな家、と思って他の家に帰ってやろうかと思ったが、夜はすでに遅すぎ、わたしは自分の部屋が好きすぎた。大好きな部屋に入れないのが悲しくて、早く鍵を開けて帰りたくて、ほとんど泣きそうだった。必死だったので寝るときになってもまだ指先がこすれて痛かった。経験上、しばらくするとまた嘘みたいに鍵穴に入るようになるが、今夜も鍵が入らないのではないかと考えるだけで家に帰るのが億劫になるくらい、心底いやになったので、今度こそ管理会社に電話する。

今日は午前中、約束をすっぽかされた。おおかた洗濯が終わるのを優先したとか、たぶんそういうところだろう。「別にいいよ」と返信したわたしは彼を甘やかしているわけでなく、自分の平穏を優先しているだけで、特にすねたり怒ったりしようという気は起きなかった。『紙風船』並のサバイバルに、身を投じようとしているのだから、これくらいどうということもない。お店にて、ひとりで粛々と試着した。似合うものと着てみたいものは違うというのが分かった。何にせよそういうものだ。

時計の電池を交換して、道すがらアイスを買い、歩きながら食べて家まで帰った。疲れたので、眠ってしまおうと思った。帰って、早々にお化粧を落としたり着替えたりしていたら、近所に住むNさんから「さっきジェラート食べながら歩いてなかった?!」というメールをもらった。歩いてましたよ!と返信したら「そっか、やっぱりね。なんか颯爽としてた。颯爽とジェラート食べてたよ」と返ってきた。

深夜なのにすごく食パンを食べたい。おなかがすいていないので食べないが、食べたいという気持ちは確かにある。でも、たぶん幻だろう。

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