2015年1月8日木曜日

女の孤独

女が掃除機をかけるのは、不機嫌な時と決まっている。そういう時の女は家中のほこりがやたらと目につき、しかもそれには紙くずやら糸くずやら髪の毛やらが混ざっており、今すぐそのいまいましいごみどもを排除したくてならない状態であることが多いからだ。なぜほこりが目につくのかといえば、散らかす男、夫、あるいは子ども、それに準ずる存在のものものが女を苛立たせるからで、視界の隅でのんびり遊んでいるそうした人々ののどかさに比べ、私は今だってこんなにほこりまみれの家のことが気になってしょうがないのにお前ときたらまったく楽しそうだなこのやろう、という気持ちになるからなのである。そうしたら、音をたててほこりを吸う掃除機が、自分の憂鬱も吸い込んでくれるようにも感じるし、勢いよくがちゃがちゃとホースを走り回らせたくもなる。つい意地悪な心を起こして、ほこりをまき散らかす元凶たる男、夫、あるいは子ども、それに準ずる存在のものものを吸い取ったりしたくもなるというものだ。

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