帰りが遅くなった夜に、出来心でコンビニのグラタンを買って食べてしまった。おいしくなさに後悔して吐き出したいと思ったが、そんなふうに食べものを粗末にできるようには育てられていないのだった。ただ「虚しい」と思いながら咀嚼しつづけた。食べながら、私は何よりも、人が、私のいる前でコンビニのごはんを食べるのが嫌だったのだ、と初めて思い至ってフォークを噛みながら少し泣いた。おいしいと思うものを一緒においしいと思えるのが幸せ、などと人は言うが、まずいと思うものを一緒にまずいと思えない悲しみのほうが、私には重要なことなのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿