2015年3月13日金曜日

残骸

どうしても、実家の、私の部屋だった場所を抜本的に片付けなければならなかったので、しばらく実家に通った。あまり片付けるものもないかと思っていたが、いざ行ってみると結構捨てるものはあるのだった。子どものころにもらった手紙や年賀状を丁寧にしまっていた箱があったので、中身をだいぶ整理した。その箱から、父が30年近く前に単身赴任していた頃に母と私と妹宛に送ってきたものが発見された。子どもだった私に向けては、ひらがなだけの短い手紙が入っていて、それはそれで愛情に満ちた涙ぐましいものだったのだが、つい私は、父が母に宛てた方の便箋を読んでしまった。おかげでずいぶん、片付けの作業が中断された。他にも、私がかつて考えかけて放棄した、小説の草稿とも呼べないような設定とプロットの書かれた原稿用紙もたくさん見つかった。自分で考えたお話のことはだいたい覚えているつもりだったが、まったく記憶にないものもいくつかあって、自分で自分のことが信用ならないとつくづく思った。この10年間に、自分がいかに古くなった(新しくなった?)か実感して、ほとんどひと思いに捨てた。

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