2015年3月21日土曜日

運搬

言われてもいないことにまた怒ってしまい、暴力的な衝動をおさえながら、家までの坂道を歩いた。計画性のない大量の買い物をした私は、スーパーの袋を4つも下げて疲労困憊だった。午前中に生理が来ていて、しかも今月はすぐに出血が活性化して腹痛も強い回で、というのは「来たな」と思ってから本格的な出血に至るまで丸一日を要する回などもあるので、今月はこっちか……と思って辟易(いずれにしても生理には辟易である)していた。たとえるならば、甲殻類が脱皮をした直後の非常にやわらかくてまっしろい感じの状態の身体だった。やわやわよわよわな感じ。持っている4つの袋のうち、ひとつだけねぎの束が飛び出たものがあって、全体のバランスをひどく崩していた。袋はいずれも野菜、肉、金物や履物などの日用品でいっぱいで、持ちきれないものはリュックにも詰めてあり、だめ押しのように家の近くで水のペットボトル(2リットル)を2本も買った。しかし何とか持てないことはなかった。飛び出たねぎの束のあまりの不格好さと所帯じみた感じを噛みしめ、でもねぎの旨味はゆたかな生活に必要なものだから、と自分で自分を鼓舞した。家についてから荷物を台所の床に投げ出すように置き、ねぎの長い青い部分を即座に切り落として気分を晴らしたが、ねぎには可哀想なことをした。

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