誕生日に赤い傘をもらった。すぐにでも雨が降ったらいいと思うほどの素敵な傘だったが、残念なことに私は晴れ女なのであった。晴れ女は、ひとたび外に出れば雨を止めるし、屋内に引っ込めばその瞬間を狙って雨を降らせることができる。よって私は、めったに傘を使わない。せっかく、大きくて美しい傘なのにもったいない。もったいないので、しばらくは持って歩く。
終点まで行くことは決めていたので、窓の外は見なかった。手元の本に目を落としているうちにどれくらい時間が経ったのかも分からなくなり、今日本のどこにいるのか定かでなくなった。車窓の外には、大きなショッピングセンターや国道、ドライブスルーのマクドナルドが広がっていて、もう少しで自分の居場所を思い出せそうだったけれど、まあどうせ海に行くんだからいいわ、と思っていっさいを考えるのをやめた。
0 件のコメント:
コメントを投稿