人を傷つけたことによって、自分も傷ついたという男を迎えて話を聴いた。「やっぱりぼくは人非人なのかなあ」と言うので、そうじゃないでしょ、人ではないものを大切にしてるんでしょ、と慰めた。「ぼくにだって泣きたい時はあるよ」。そうね、でも泣けないんだから泣かないで生きるより仕方ないわよね、と言って手を握ってあげてから、私はさっさと立ち去った。 慰める時に新しい傷をつけてしまうのは、さがない私の性分なのである。
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