仕事はやめないほうがいいよ、と言われるのも、結婚はした方がいいよ、と言われるのも、言われたときの感覚がよく似ている。どちらも、言っていることはよくわかる。
昨日は期せずして、奇妙な巡り合わせの輪を外から眺める役を担った。私はこういうとき、絶対に当事者にはならない星のもとに生まれていて、人からおもしろい話を聞いては忘れないで覚えておく、というのが役割なのだ。
広い庭園の中で迷って、行きたいほうと反対の建物に行ってしまう夢を見た。電話をしても待合せ相手が何を言ってるのか聞き取れないしわからなくて、途方に暮れた。高校時代の同級生が意味もなくたくさん出てきて、夢の中で惑うときにはいつも、大挙して押し寄せてくる彼女たちに翻弄されている。しかしあまりにひねりのない内容で、いささか自分に幻滅した。
このまま死んだらどうする?と聞くので全然いいよ、始末してあげる、と正直に答えたら、まだ死にたくないよ、と翻された。目を閉じたままそれを聞いていて、すとんと受け止めるように、私は今消えてもいいって言えそうだったけど、それではあまりに少女趣味だろうな、じゃあこういうとき何て言ったら少女趣味ではないんだろうな、と思ってしばらく考えた。考えたけど思いつかなかったのが悔しくて、顔を隠して少し泣いた。
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