2013年8月5日月曜日

時計の針

フロアごと、職場の引っ越しが行われた。同じ駅だが、もっと川に近い方のビルになった。初日から私は朝当番だったので、誰もいないフロアでPCを組み立て、IPアドレスが正しいことを確かめて、7時の定点確認メールを書いていた。ちらっと壁を見ると、時計が3時間以上狂っていて面食らった。いくら太陽の光り方が違うと言ったって、物証としては時計しか時間の証明にはならないし、視覚に文字盤が侵入してきたら自動的に頭がその時間になってしまうのに。

どうやらその時計は電波時計とやらで、引っ越しで運んできたとき何かのはずみで狂ってしまったそうだ。手では動かせないので、電池を入れ替えない限り難しいらしい。放置されているのを見たところ、電池だってたぶん簡単に交換できるようなものではないのではないか。そんなのを掛けておくことを許可した誰かは、何を守ろうとしたのか知らないけど頭がどうかしているので、本気で腹が立った。

朝当番で急いで家を出たので、冷房よけのカーディガンを忘れた。凍えながら午前中やり過ごし、早めの昼休みにして、買い物にいくことにした。日本橋に出れば知っているお店もいくつかあったけど、量販店の場所を調べて、あえて知らない街まで歩いて行った。川をいくつか渡って、信号を超えて、うしろを振り返ると、曲がりくねったように見えた道の遥か向こうまっすぐ、私が出て来たビルが見えた。結局、往復で1時間かかった。日傘を差していたとはいえ、相当暑かったけれど、でも冷房の部屋に閉じこもっているより、ずっと幸せな体温調節ができた。

何でも、あとから書くのはよくない、と最近ある人に言われた。いいことはいいけど、文句があるならそのとき言え、ということで、それもやっぱり私の書き方がよくないのだろう。少しだけ反省する。深読みは得意な方だけど、真っ当な共感がちょっと下手なのかもしれない。でも、誰かのことを思って書くと不思議にそれはその誰かに届いてしまう現象のことはよく知っているし、いつだってちょっと素敵に、あるいは無様に、宝石のカッティングのようなものが施されているというのも、わかっているのだ。

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