とにかくひどく疲弊した。古い慣習や振る舞いを信じて疑わない人というのは今も確かにいる。大多数を占める。私を脅かす。でも、それを乗り越えずに生きるのは不可能だ。それが下地にあるのとないのとでは、私の感じ方も書くものも異なる(良くなる)と信じるしかない。芸術はもともと社会からはみ出たものを扱うようなところがあって、それが救いでもあるし、理解を得られない大きな理由でもある。だけど社会からはみ出るという事を、自分からはみ出た何かと区別出来ていないのはよくない。甘い。ぬるい。
あのへんに長く住もうという人はもういないでしょう。最近は地震も少ないし、ここは内陸だから、海沿いの辺りとも違って安心だ。家と墓を買うには打ってつけですよ、と老人は言った。私は、え、でもそんなこと言ったって、と思いながらどうする事もできずにいたけれど、しばらくしてから老人は、今日は楽しかったですね、今度は海沿いに魚を食べにいきましょう、と私を誘ったので、思わず耳を疑った。
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