横になって身体を触ると、腰骨の浮き方がいつもと違ったので少し驚いた。こんなに骨ばっていただろうか。毛布をめくり、ひざをふと見ると、こちらも骨のかたちがいつもと違うように見えて、やせたのか年を取ったのか、どっちかよくわからないな、と思った。顔の表情だけでなく、身体つきまで変わっていくなどということがまだあるのだろうか。いずれゆるやかに色味と水分を失ってゆくことはわかっているが、こんなにも日ごとに。 裸足の足をつかんでみると思いのほかサイズが小さくて、え、こんなだったっけな、と考えながら眠ろうとしてみた。眠れなかったので、起きて浴槽を掃除した。間違えてシャワーをひねり、水を浴びてしまった。
あまり食事をとる気になれず、もちろんケーキや和菓子も食べる気がしないので、焼き菓子を少しずつ食べている。いっぺんにガレットを一つ食べると後で気分が悪くなるので、半分食べて取っておいて、また食べる。そうしていると半日くらいもつ。紅茶はその間に四カップくらい飲む。結局だましだまし食事も取る。自分が積極的に興味を持つ食べ物屋がパン屋しかないということは、30年生きてみて薄々気づいている。
「君が甘えているの?それとも相手に甘えさせているの?」と聞かれ、わからない、と素直に言った。「では質問を変える。相手がベッドから起きたら、自分も起きなければと思う?」と聞かれて、そうだ、と答えたところ「それは君が甘えさせているということだ」という種明かしのような回答をもらった。目の覚める思いがしたが、私は人の言うことを聞けないので目は覚めなかった。甘やかすのも甘えるのも、高等な技術が必要なことを私は知っている。本当はわざわざ起きたりしないで、ただそばで眠る生活がしたい。そして私が隣にいるときは、どうか安心して眠ってほしい。
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