中央線に乗って、演劇を観に行った。帰りたい、帰りたい、と思った。郷愁というのかなこれは、と思ったが別に故郷ではないし、郷愁というのも変かな、などといろいろ考えた。さらに西に向かうころには日が正に暮れようとしていて、ますます帰りたい、と思ったが、どこに帰りたいのかはわからなかった。そのとき会いたい人もいたし、行きたい場所もあった。でも、帰りたい場所が私にはない。
冷たい男はいやだ。冷徹ということではなく、気の利かないという意味だ。人の動向に気を配らないから、人がどうして傷ついて、どうして寂しがっているのか考えてもみない人間を私は好きになれない。
自覚できないほど体調が悪いらしく、酒を飲むとひどく酔うので、しばらくの間コップ半分以上を自らに禁じている。まったく禁じているわけではないところが、私の弱さだ。酒を飲みたいわけじゃない。誰かと一緒にいたいのだ。その弱さが祟って、二日に一度は夜に泣く。
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