2013年10月26日土曜日

君に届かないブルース

追いつめやすいたちである。追いつめられやすくはない、とは思う。わからない。大雨は行き過ぎた。昨晩遅くにあった地震は、長く揺れてとても怖かった。終わりの見えないものほど怖い。 今は眠れなさへのあせりがひどい。眠る努力をしていないとか、改善する気がないとか、言われてもいない言葉に先回りして傷つくことはやめたい。

「どうでもいい」という感情は結構大切だとも最近思っている。もともと、他人が私のことをいつどうでもよくなるかわからない、という強迫観念があるので、それを心底受け入れることはきっと私には難しい。でも、すがりつくのでもなく、振り払うのでもないやり方で人と接することについて、考えてみるくらいはやったほうがいい。

『ハスリン・ダン』という曲があって、もとはベッシー・スミスが1930年に歌ったとのことだが、私は浅川マキが歌っているので知った。私は、ブルースの幕切れが好きなんだろうと思う。たとえば俺の女がどれほどいいか歌っておきながら最後は「あいつは出ていった」と続いたりするし、このハスリン・ダンも死ぬ。アメリカの乾いたブルースは、バックビートの手拍子でどこにでも行ける気がする。


聞いて頂戴よ 私の彼のことを
彼は満足以上の最高のブラックマン
ハスリン・ダン 私のいい人

私のいいひとはいつもどこかの土地で
博打打って暮らしてる 最高のギャンブラー
ハスリン・ダン 私のいい人


彼は名うての博打打ち 彼のそのやり口は
正々堂々と勝負する 最高のギャンブラー
ハスリン・ダン 私のいい人

誰が何と言おうと私は彼が好きだわ
彼は最高のギャンブラー 最高のブラックマン
ハスリン・ダン 私のいい人
 

(『ハスリン・ダン』より抜粋 日本語詩:浅川マキ)

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