2014年3月5日水曜日

裏街道五十三次

一泊する勇気はまだ出なかった。三年かそこら前に、修学旅行と銘打ったひとり旅があり、そのときの経験を塗り替えるだけの自信がまだ持てなかった。あれ以上のものを得るためでなければ、京都で夜は明かせない。あのときと私はもうずいぶん違っていて、好きだった人のことも今はそんなに好きじゃなくなってしまって、というか会わなくなってしまってどこに住んでるのかも何となくしか知らない。知らない町で日が暮れていくのが不安、と昨日は思ったけれど、京都のことは別に知らないわけじゃなくて、でも行きずりの、それでいて永遠の憧れのような気持ちの結晶が喉元を刺すのだ。行ったことのないところに行きたくて、京都タワーの下の浴場に行った。どんな場所でも、服を脱ぐ前と後では町との距離が少し変わる。道中は、往復ともに死んだように眠った。どうかしてる、と思うような眠気だった。死んでいる間に、西へ東への移動が完了した。

私のこのごろの夢は自家製ケチャップを作ることである。私は実をつけないお花がとても好きなのだが、なぜか今はトマトを育てたい、と強く思っている。

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