2013年9月19日木曜日

In other words

「落ち込んだときのほうが、空は綺麗ですよね」「そうかも。でも、空って落ち込んだときしか見なくない?」という会話をしている人たちがいて、私はそれをじっと聞いていた。私は晴れでも雨でも夕暮れでも空ばかり見て、うつくしいなあ、とさめざめしているので、それはいつも落ち込んでいるということだろうか、と考えたりした。

とにかく恋文には命をかけたい。「あなたが好きです」ということを、どのような言葉に乗せ換えるかは、いつだって一番の勝負だ。脚本、小説、手紙の隅、メールの末尾、劇評、日記に至るまで、研ぎ澄ましたいと思う気持ちは、私にとって愛の告白の精度を上げるということなのかもしれない。それは「君を愛しているからだよ」という言葉に対してカポーティがかつて書いたような究極の返答に、この世でもう一度出会いたいと思ってしまう気持ちと、近い場所にあるような気がする。

一度覚めると眠れない。どうして、一度も起きないまま朝も昼もねむり続けることのできる人がいるんだろうと思う。そのとき、私は私でちょっと変わった時間の過ごし方をすることにして、それはとんでもなく孤独なことだったけれど、とにかく続けた。ひとりのときより孤独じゃないでしょ、と後から言われたけど、あれは、ひとりのほうが寂しくない。でも隣にいるのに孤独だと思うのはなぜかを考えるほうが興味深いし、寂しいことと寂しくないことだったら、寂しいことをいつもなぜか選んでしまう。かつて切り捨てたいと思った他者と、今受け入れたいと思う他者のことをずっと考えながらやってみた。ねむる前の時みたいに少し泣いたりしながら繰り返した。そんなにも、と驚かれたけど、でも、別に全然大したことではないのだ。

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